インフルエンザと風邪は違う
インフルエンザは、ウイルスによって引き起こされる感染症です。 風邪の多くは咳やくしゃみ、鼻水、のどの痛みなどの症状がゆるやかに現れ、発熱も軽度(微熱の場合だと37℃前後で、高くても38℃未満)です。発症後の経過もゆっくりで、徐々に回復していきます。 しかしインフルエンザにかかってしまうと、普通の風邪と同じような症状(咳、鼻水、のどの痛み)に加え、高熱(38℃以上)や、関節・筋肉痛、全身のだるさ(倦怠感)なども発生します。
加えて、腹痛や吐き気などの消化器症状などを発症する傾向もあります。 また、インフルエンザは合併症にも気を付けていく必要があります。 特に高齢層の方(65歳以上)や慢性疾患や糖尿病などを抱えている方、妊婦の方、5歳未満の幼児がインフルエンザにかかってしまうと、ウイルス性肺炎やインフルエンザ脳炎などの発症リスクが高くなってしまいます。生死にかかわるので、気を付けて対策してください。
インフルエンザの流行について
インフルエンザウイルス感染症は12月~3月ごろに流行するものです。とくに1月~2月ごろの時期は、インフルエンザの患者数が1年の中で最も多い傾向にあります。しかし、年によっては冬前に流行するケースもあります。
「極力早めに予防接種を受けたい」と考える方も多いかと思いますが、予防接種の効果期間は「約5ヶ月」だと言われています。そのため、毎年ピークになる1月~2月に予防効果を発揮させるには、「10月中旬~11月下旬まで」に予防接種を済ませておくことが大事です。
予防接種の受診は極力「10月中旬~11月下旬まで」に済ませておき、手洗いやうがい、栄養バランスの良い食習慣、睡眠時間の確保など、免疫力向上とインフルエンザ予防対策をしっかり心がけていきましょう。
インフルエンザの潜伏期間
インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~3日ほどです。体調や体質、年齢によって異なりますが、潜伏期間の平均は2日程度になります。 インフルエンザウイルスは1日で一気に増殖するので、すぐに発症することも多いです。
症状が目立たない潜伏期間中に、他人へうつしてしまうこともあります。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザを日常的に予防するために、どのような経緯でインフルエンザ感染が起きてしまうのかを把握しておきましょう。 インフルエンザの感染経路は二種類あり、「飛沫感染」と「接触感染」です。
飛沫感染
感染している人の咳・くしゃみによって出てきた飛沫を吸い込んでしまうことで、感染するケースです。 人混みの多い場所(学校や職場、繁華街など)はこの飛沫感染が起きやすいので、対策していきましょう。
飛沫感染
感染者が咳・くしゃみをした時に口を手で覆うと、手にウイルスが付着します。その手で交通機関のつり革やドアノブ、部屋の照明スイッチなどを触ることで、様々な場所にウイルスが付着してしまいます。ウイルスが付着した場所に他の人が触れてしまい、その後に口や鼻を触ってしまうことで粘膜へ感染します。
具体的な予防法
インフルエンザの感染・感染拡大を防ぐためには、飛沫感染・接触感染を徹底的に対策していくことが重要です。 普段から咳エチケットをこころがけていき、「かからない」「他人へうつさない」を心がけていきましょう。
手洗いをしっかりする
「帰宅した時」や「調理する前後」、「食事前」には、流水・石鹸で丁寧に手を洗いましょう。 とくに電車・バスのつり革やドアノブ、手すり、部屋の照明スイッチ、エレベーターのボタンなど不特定多数の方が触るところは、ウイルスが付着しやすいです。
出先でこまめな手洗いが難しい場合は「アルコール消毒液」や「消毒用のウェットティッシュ」など、すぐに使うことができる消毒用品を持ち歩きましょう。
外出時のマスク着用+咳エチケット
マスクを着用する目的は「人にうつさないこと」です。 現在のところウイルスを100%防げるマスクは存在していないので、残念ながら完全予防は難しいです。しかしマスクを着用することで、ある程度の防御ができます。
また、のどが乾燥してしまうと粘膜の防御機能が低下してしまい、感染リスクが高くなってしまいます。マスクは口腔内の保湿にも役に立つので、インフルエンザの予防対策に有効です。
咳エチケットの徹底
体調に関係なく咳・くしゃみがある時は、必ずマスク着用と咳エチケットを徹底しましょう。 インフルエンザに感染しても症状が目立たなかったり、症状が軽かったりするケースもあります。さらに、不顕性感染(症状が全くない状態)の場合もあります。
そのため、インフルエンザに感染していることに感染者本人や周りが自覚していない間に、感染拡大が起きてしまう恐れがあります。 インフルエンザの感染拡大を防ぐには、ひとりひとりがマスク着用や咳エチケットを守ることが大事です。些細なことですが、それらを守る人が増えるほどインフルエンザの感染リスクも減っていきます。
マスク着用時の注意
着用していたマスクを外すときに、マスクの表面(外側)に付いているウイルスに触れてしまうことで、口や鼻の粘膜にウイルスが入ってしまう恐れがあります。また、ウイルスが付いた手でマスクの内側に触れてしまうことによって、接触感染のリスクが上昇してしまうこともあります。
マスクで接触感染が起きないよう、マスクを外した後・着用する前は、手洗いとアルコール消毒を心がけましょう。
十分な栄養と睡眠
免疫力が低下してしまうと、インフルエンザの発症・重症化リスクが高くなってしまいます。 日ごろから良質な睡眠や栄養バランスのある食事、ストレスの軽減などの対策を行い、免疫力を下げない生活習慣を守りましょう。
免疫力を高める食事
免疫力向上において、腸内環境を整えることも大事です。納豆やヨーグルトなどの発酵食品をこまめに摂取し、免疫力を高めていきましょう。
湿度を保ち、乾燥させない
湿度が低くなってしまうと、のどの粘膜の防御機能が落ちてしまいます。乾燥しやすい室内では加湿器や濡れタオルなどを活用して、50%~60%の湿度を維持しましょう。加湿器を持っていない場合は、洗濯物を部屋干ししたりお湯を沸かしたりする方法もあります。
就寝時にもマスクを着用すると口腔内の乾燥対策になるので、着用しての睡眠もお勧めします(睡眠の妨げになってしまう場合は無理せず外しましょう)。 またインフルエンザウイルスは、高温多湿な環境下では生存できなくなります。そのため、室温を20~25度をキープするよう心がけてください。
人混みの多い場所・繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行する時期になりましたら、高齢者層や持病のある方、妊婦の方などは人混みや繁華街へのお出かけを極力控えましょう。体調不良を起こしている方や睡眠不足で疲れている方も同様です。
インフルエンザの予防接種をうける
インフルエンザになった場合、だいたい1週間程度で回復することが多いです。しかしウイルス性肺炎やインフルエンザ脳炎といった重篤な合併症が現れてしまい、重症化してしまう方も存在しています。
インフルエンザワクチンを接種することは、発症リスクを抑えるだけではなく、重症化リスクの軽減にも有効です。ぜひ、ワクチンの接種を毎年受けましょう。