消化器内科とは
消化器内科は食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓の7つの臓器を診察する内科です。多くの臓器を扱い、様々な症状や病気の治療にあたります。必要に応じてレントゲン、胃カメラ、大腸カメラ、超音波(エコー)検査など追加し、診断、治療をおこないます。
入院治療が必要な場合には、近隣の総合病院をご紹介いたします。治療後には総合病院から逆紹介してもらい、当院で経過観察をおこなうこともできます。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医の資格を有した医師が診療いたします。
症状
胸焼け、胸部灼熱(しゃくねつ)感、胸痛
胃食道逆流症では胃酸などが逆流し、このような症状がでます。胃カメラで逆流性食道炎の所見がない場合も、症状が出現することもあります。そのほか、肺に穴が開く気胸、狭心症、心筋梗塞、大動脈解離といった心臓、大血管の病気のこともあります。
飲み込みにくい、つかえ感
食道がんが進行してくると、物理的に食道が狭くなり、このような症状がでます。その他、胃食道逆流症、食道アカラシアでも知覚過敏や食道の動きが悪く症状がでることがあります。またヒステリー球といわれるストレスや精神的な要因が関係して、つかえ感が出現していることもあります。
胃が痛い
胃がんが進行すると潰瘍ができ、胃が痛くなることもありますが、急性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、十二指腸炎、機能性ディスペプシアなどで胃が痛くなることも多くあります。また、胆石症や心筋梗塞でも胃が痛いといった症状がでる方もいます。
おなかが痛い
おなかが痛くなる原因はたくさんあります。胃腸の病気、胆のう・膵臓の病気やがんも進行するとおなかが痛くなります。痛みの場所、痛みかた、痛みの強さ、いつから痛いか、その他の症状も重要です。
背中が痛い
急性膵炎、慢性膵炎などは背中の痛みがよくでます。その他、大動脈解離、尿路結石や整形外科的な筋肉・神経の病気ででることもあります。吐き気、おなかの痛みの有無なども併せて診察します。
吐き気、嘔吐
吐き気、嘔吐の原因はたくさんあります。このページであげている、多くの消化器疾患でも症状はでますが、風邪をはじめとして、心臓病、腎臓病、内分泌、脳や耳鼻科系の病気など多くの病気でも具合が悪くなると症状がでることがあります。
便秘
便がでないことを便秘といいますが、自発的な排便が週3回未満といった回数以外にも、強くいきむ必要がある、便が硬い、残便感がある、排便困難である、便をかきださなければいけないといった、トイレでつらい思いをしている方も便秘にあてはまります。
過敏性腸症候群では便秘、下痢を繰り返すこともあります。なかには大腸がんなど、便の通り道が物理的に狭まっているような病気による便秘の場合もあるので注意が必要です。
下痢
感染性腸炎、急性胃腸炎、潰瘍性大腸炎やクローン病などで下痢を引きおこします。過敏性腸症候群では便秘、下痢を繰り返すこともあります。また、甲状腺機能異常症など胃腸に問題がなくても、病気による下痢をおこすこともあります。
血便
虚血性腸炎、大腸憩室出血、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔や大腸がんでは血便がみられます。これらの疑いがあるときは大腸カメラで診断をします。大腸がんでは血便がでたり、とまったりすることもあるので、血便がとまっていても大腸カメラをうけることをお勧めいたします。大腸憩室出血や直腸潰瘍で大量に血便がでている場合には、総合病院での入院加療が必要となることがあるので近隣の救急病院と連携します。
食欲がない、体重が減った
いわゆるダイエットをすれば、もちろん体重が減ることもありますが、病的に体重が減る場合や長期間食欲が低下する場合には、がんが隠れていることもあるので注意が必要です。
足がむくむ
肝硬変やがんで具合が悪くなると、血液中のアルブミンといわれるタンパク質が減少しむくみの原因になります。その他、心不全、腎臓病や甲状腺機能異常症でも足のむくみがでることがあります。
肝機能障害
血液検査でAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPやビリルビン値が高い状態です。だるさや黄疸といった症状がでることもありますが、無症状のことも多くあります。アルコールの飲み過ぎや太りすぎによる脂肪肝、ウイルス性肝炎、ホルモンの異常、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、感染症・薬剤性の肝障害、胆石症、がんなど原因は多岐にわたります。症状がなくても、重篤な病気の場合もあるので、早めにご相談くさだい。
黄疸
ビリルビン値が高くなると、皮膚や白目が黄色くなります。総ビリルビン値が3mg/dlをこえると最初に白目、徐々に全身の皮膚、尿も黄色くなります。だるさやかゆみもでてきます。肝臓自体に障害がある場合と、胆汁の流れが障害されている場合があります。黄疸になりうる病気は、急性肝障害、肝硬変、胆石症や多くのがんなど様々です。緊急を要することもあるため、黄疸がある際は早めに受診をするようにしてください。
便潜血陽性
大腸がん検診として用いられている検査です。2日法が一般的ではりますが、どちらか1日でも陽性であれば、精密検査として大腸カメラが推奨されています。便潜血陽性の方が大腸カメラを受けると3.6%の方に大腸がんがみつかると報告されています。
検査結果異常
健診、ドックなどで異常を指摘された際はご相談ください。胃のバリウムで異常を指摘された際には胃カメラ、便潜血検査で陽性であった際には大腸カメラ、肝機能障害に対しては特殊な血液検査、腹部超音波検査をおこないます。腫瘍マーカー高値であれば、どこかにがんが潜んでいることがあるため、胃カメラ、大腸カメラ、レントゲン検査、腹部超音波検査などおこないます。近隣の検査機関、総合病院と連携しCT検査も検討します。
主な病気
消化管
- 胃食道逆流症
(逆流性食道炎) - 食道アカラシア
- 好酸球性食道炎
- 胃潰瘍
- 急性胃炎
- 慢性胃炎
- ヘリコバクターピロリ菌胃炎
- 胃ポリープ
- 機能性ディスペプシア
(機能性胃腸症) - 十二指腸潰瘍
- 十二指腸炎
- 好酸球性胃腸症
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 過敏性腸症候群
- 大腸ポリープ
- 虚血性腸炎
- 大腸憩室炎
- 大腸憩室出血
- 腸閉塞(イレウス)
- 虫垂炎(盲腸)
- 感染性腸炎
- 食中毒
- 急性胃腸炎
- 便秘
- 痔
- 便潜血検査
- 腫瘍マーカー高値 など
肝胆膵
- 肝障害
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 脂肪肝
(アルコール性、非アルコール性) - 肝硬変
- 胆石症
- 胆のう炎
- 胆管炎
- 胆のうポリープ
- 胆のう腺筋腫症
- 体質性黄疸
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 膵のう胞
- 腫瘍マーカー高値 など
消化器領域のがんについて
消化器領域では食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆のうがん、胆管がん、膵がんがあります。その他、特殊な悪性の病気(がんに準ずるもの)として、消化管間質腫瘍(GIST)、神経内分泌腫瘍、悪性リンパ腫などがあります。いずれも初期には自覚症状に乏しいため、検診、ドックの利用や初期症状の際にきちんとした検査をおこなうことが大事です。
当院では胃カメラ、大腸カメラ、腹部超音波検査を受けていただくことが可能です。また近隣の検査機関、総合病院と連携しCT検査の予約をおとりします。
消化器領域のがん
- 食道がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 肝臓がん
- 胆のうがん
- 胆管がん
- 膵がん
- 消化管間葉系腫瘍(GIST)
- 神経内分泌腫瘍
- 悪性リンパ腫 など
消化器内科の検査
胃カメラ
上部消化管内視鏡検査、よく「胃カメラ」と言われている検査です。胃カメラでは食道、胃、十二指腸の途中までを観察し、病気の診断をおこないます。胃カメラというと、「痛い」、「苦しい」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。実際にカメラがのどの奥に触れるとのどの反射により吐き気やおう吐がおこります。
過去に辛くて苦しい胃カメラを体験された方もおられると思いますが、近年の内視鏡機材、技術は格段に進歩しており、苦痛も少なく、より精密な検査を行うことが可能となっています。当院ではご希望のある方に、検査時鎮静薬を使用いたします。
大腸カメラ
大腸カメラではカメラをおしりの穴から盲腸まで挿入し、カメラを抜きながら、結腸、直腸(結腸と直腸をあわせて大腸といいます)を観察し、病気の診断をおこないます。大腸カメラというと、「下剤が大変」、「痛い」、「なんだか恥ずかしい」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。
実際に下剤を服用して、大腸が空っぽにならないと検査はできません。大腸を空っぽにするほどの下剤なため、飲む量も多く、けっして飲みやすいものではありません。ですが近年、大腸がんの患者さんは増加しており、日本のがんの死亡率をみると、男性では第三位、女性では第一位となっています。少しでも気になる症状や検査結果異常がある方は積極的に受けることで早期発見につながっていきます。また当院ではプライバシーの配慮には最大限に努めて検査をおこなっていきます。
検査中、大腸カメラではカメラをいれる際に大腸が伸び、観察のときには大腸の中を広げるため、お腹が張ったり、痛くなったります。しかし近年の内視鏡機材、技術は格段に進歩しており、従来に比べ痛みの少ない最新の内視鏡、おなかの張りを抑える炭酸ガス送気装置を完備し、経験豊富な内視鏡専門医が検査をおこなうことで苦痛も少なく、より精密な検査をおこないます。当院ではご希望のある方に、検査時鎮静薬を使用いたします。
腹部エコー検査
腹部エコー検査 この検査では、肝臓・胆のう・膵臓(すいぞう)・脾臓(ひぞう)・腎臓・前立腺・膀胱など、胃カメラ・大腸カメラでの観察ができない臓器を診ていきます。腸管のむくみ・炎症の有無を直接観察することが可能です。
胃カメラ・大腸カメラと違い、検査時の苦痛や気持ち悪さがなく、直前の準備(下剤の服用など)も不要なので手軽にできます。加えて、ベッドサイドですぐに開始できる検査のため、とても効率の良い検査方法です。主に腹痛や肝障害の原因を探るときに行います。 腹部エコー検査を行うことによって、胆石や胆のう炎、尿路結石、肝のう胞、膵のう胞などの病気が発見されるケースもあります。