便潜血検査とは
便潜血検査とは、スティックで採取した便に試薬を混ぜて、便の中に目視できない程度の微量な血液が含まれていないかを調べる検査です。大腸がんのスクリーニングとして、健診などでよく使われている方法です。
便潜血検査で陽性反応が出た場合は、消化管(口から肛門まで)のどこかで出血が起きている可能性があります。 便潜血検査で陽性反応が出た患者さまのなかで、大腸がんだった方は数パーセントほどとかなり少ない傾向にあります。
そして便潜血検査後に精密検査をしてみると、痔などが発見されたケースも多く存在しています。ほかにも、原因不明な出血によって陽性の結果が出てしまうこともあります。
便潜血検査と大腸がん
便潜血検査はあくまでも大腸がんのスクリーニング検査に過ぎません。そのため、陽性が出た場合は大腸カメラ検査も行い、大腸がんがないかを観察する必要があります。便潜血検査で陽性が出た患者さまが大腸カメラ検査を受けた場合、約3%の確率で大腸がんが見つかっています。
また、便潜血検査では早期の大腸がんの約50%、進行した大腸がんの約20%が見逃されてしまい、陰性の結果が出てしまう(偽陰性)こともあります。当院の大腸カメラ検査では特殊光や拡大機能を用いた観察を行い、「早期がん」や、「便潜血検査だけでは早期発見が難しい平坦型の大腸がん」、「がん化する恐れのある大腸ポリープ」を見つけていきます。
40歳以降の方は、大腸がんの発症リスクが年々上昇していく年代です。便潜血検査の結果が陽性・陰性のどちらでも、ぜひ1度、大腸カメラ検査を受けてチェックしていきましょう。
便潜血検査の陰性と陽性
便潜血検査は、「便の中に血液が含まれているか」を確認するために行う検査です。 そのため、大腸がん・前がん病変のポリープがなくても、痔や炎症、生理時の出血などで陽性になるケースがあります(偽陽性)。また、硬便を排泄する際に、肛門の表面を強く擦ったことが原因で、陽性の結果が出てしまうこともあります。
それに対して、陰性の結果が出ていても、がん・出血が起きていない大腸がんが見過ごされている可能性もあります(偽陰性)。とくにビタミンCを服用している方は、偽陰性になる可能性が高いので、気を付けていきましょう。
便潜血『陽性』
消化管のどこかで出血が起きている可能性があるので、大腸カメラ検査を速やかに受診しましょう。大腸がんの可能性(3%程度)もあるので、油断は禁物です。 もしも大腸がんが発見された場合、他疾患も併発していない状態でしたら、早期治療で治る可能性があります。
初期症状のうちに適切な治療を受けることで、治療における心身への負担が少なく済みます。そのため、極力速やかに検査を受けるようにしましょう。
便潜血『陰性』
便潜血検査では、早期大腸がんの約50%が、進行した大腸がんの約20%が見逃されてしまいます。 陰性の結果が出たからといって、大腸がんまたは前がん病変の大腸ポリープが無いとは限りません。便潜血検査の結果を振り返るときには、そういった内容を考慮することが大事です。
便潜血検査でより正しい結果を得るために
現在の便潜血検査では、「2回法」が用いられています。検査を2回行うことで、出血の発見率が高くなるため、正確な検査結果が出やすくなります(それぞれ異なる日に実施します)。 便潜血検査は事前に配布する採便容器を使って、ご自宅のトイレで採取して提出する方式で行っています。この採便容器には詳しい説明が載っているので、その内容をきちんと確認してから採取を行ってください。
説明の方法通りに行うと、適量の6.0mg前後を採取することができます。採取量が適量よりも少ない、または多すぎる状態ですと、検査に支障をきたしてしまう恐れがあります。採取量にはお気を付けください。
また、スムーズに検査を進行していくためには、採取のタイミングも大事です。 一般的な室温である25度の環境下では、血液に含まれるヘモグロビンの残存率が、約半分に減少してしまいます(1週間経過した場合)。 そのため、提出日の1週間以上前に採取した便では、正確な検査に支障をきたしてしまいます。極力、提出日から一週間以内の日に採取を済ませておきましょう。