脂肪肝とは
(お酒を飲む方のことを『常用飲酒家』といいますが、1日平均エタノール換算で60g以上の飲酒をしていると定義されています。エタノール60gについてはしたの表を参照してください。)
エタノール60gにあたるお酒
日本酒(15%) | 3合 |
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ビール(5%) | 500ml×3本 |
焼酎(25%) | 1/8合(330ml) |
ウイスキー(43%) | ダブル3杯 |
ワイン(14%) | 3/4本(540ml程度) |
脂肪肝の検査
肝障害について
アルコール性肝障害
アルコール性肝障害では、正常な肝臓がまずアルコール性脂肪肝を発症し、アルコール性肝炎、アルコール性肝線維症へと進行し、やがてアルコール性肝硬変となります。アルコール性肝硬変は肝不全や肝臓癌の原因にもなるため注意が必要です。
アルコール性肝障害治療の大前提は禁酒です。禁酒以外に有効な治療はありません。禁酒によりアルコール性脂肪肝が肝炎や肝硬変になるのを防ぐことができます。
非アルコール性脂肪肝疾患
検診を受けた方の20-30%の方に脂肪肝が認めれており、年々脂肪肝の頻度は増加しています。脂肪肝は男性に多く30-54歳までの受診者の20%以上が該当するといわれています。脂肪肝の患者さんでは70%以上に肥満をともない、メタボリックシンドロームの診断基準に基づく脂質異常症、高血圧、糖尿病の合併頻度が高いことも報告されています。
非アルコール性脂肪肝疾患の治療
現時点では非アルコール性脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎に対する治療薬、肝硬変への進行を抑えるような薬は開発段階であり、非アルコール性脂肪肝疾患への特効薬はありません。繰り返しになりますが、食事・運動などの生活習慣の改善が大切です。
肝硬変とは?
肝硬変は初期(代償期)には基本的には無症状ですが、小棘低下や全身のだるさなどが現れることがあります。肝硬変が進行すると(非代償期)、黄疸、肝性脳症、腹水・浮腫、食道・胃静脈瘤などの症状が出現します。肝硬変がさらに進行すると。肝臓癌になる可能性が高くなり、肝不全(肝臓の機能が著しく低下し、肝臓の働きがなくなる状態)となり、命にかかわる状態となります。
黄疸 | ビリルビンが体内で増加することで、全身(初期には白目)が黄色くなります。皮膚のかゆみなど伴います。 |
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肝性脳症 | 血液中にアンモニアといわれる有毒物質が増加し、意識障害を起こします。 |
腹水・浮腫 | 血液中の栄養分(アルブミン)が低下することで、お腹に水がたまったり、手足がむくんだります。 |
食道・胃静脈瘤 | 肝硬変になり、肝臓が硬くなることで血液が本来とは違う血管をとおり、心臓に帰ることになります。食道・胃の血管に多量の血液が流れることにより、静脈瘤という血管がこぶのような変化を起こします。出血をおこすと大出血をきたすため予防治療が大切です。 |